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《ネタバレ》 胸を締め付けるこの切なさ。それとは反対に、自分でも信じられないほどスッキリとした喜び。この二つの正反対な感情が同時に存在し、それら二つが心の中でグルグルと回り続けています。こういう感情を余韻に浸ると言うのだろう、と今始めて知った気分です。そんな、相反する二つの感情を僕に抱かせた理由はいろいろとありますが、殆どはラストに込められていました。まず切なさの理由は、澪が約束通り雨の季節に現れ、そして約束通り去るまでの微笑ましいくも切ない秋穂家の生活をスクリーンを通して観てしまった僕は、澪のいない秋穂家の生活を想像するだけでとても辛くて、息が詰まるほど悲しかった。さらに澪という女性が抱く、数年後に訪れる死と別れを知りながらも、巧と佑司と一緒に居たいと強く願い、想う、その信じられないほどにたくましい信念と強い心があまりにも感動的で、言葉には表せないほど胸に突き刺さり、急激に訪れた切なさが大粒の涙として僕の目から零れ落ちました。男であるはずの僕が、女性である登場人物にこれほどまでに感情移入し涙を流したのは、僕の映画観賞人生で始めての経験です。そして、秋穂家に12年という長い年月が流れ、12年という年月は、佑司の身長を倍近く高くし、潰れる予定のなかったケーキ屋を潰れさせていった。そんな澪の居なくなった秋穂家に訪れる12回目の雨の季節。きっと秋穂家では毎年この季節が待ち遠しくて仕方なかったはず。アーカイブ星から届く澪からのバースデーケーキ…我が子を宝物のように大切に想う母の愛情が詰まったバースデーケーキ。これを観た瞬間、また涙が溢れてきました(こうやって思い出しながらキーボードを叩くとまた涙が溢れてくる)。そして、立派に成長した佑司の姿を観て、きっと巧は澪の分まで佑司にたくさんの愛情をそそぎ込み、そして片時も離れず平凡だけど一日一日を幸せに過ごしてきた事を窺い知る事が出来た。あのラストは、どんなに歯を食いしばって我慢しようとしても、僕は涙を止める事ができませんでした。これだけ書いても、まだ書きたらない想いが胸の中にまだまだ残っています。この映画は素晴らしさがはみ出してしまうほど本当に素晴らしい映画なのです。もう一度言います、『いま、会いにゆきます』は本当に素晴らしい映画なんです。ぼくは、この素晴らしい作品がたくさんの人の目に止まり、たくさんの人に感動してもらえる事を強く願っています。
【ボビー】さん 10点(2004-11-01 22:14:46)(良:2票)
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