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《ネタバレ》 数ある「切り裂きジャック」の解釈作品の中ではトップクラスの完成度。陰鬱な霧の中に多くの悲喜劇を包み込んだ、雑多で不潔な19世紀末のロンドンを見事に表現している。死体や血飛沫のリアリティや、光と影をうまく使った映像表現など、細部にセンスとこだわりが見られる。
「切り裂きジャック」の魅力は、その謎解きの魅力とイコール。永遠に答えが出ないからこそ、人々の好奇心や探究心をくすぐり続ける魅力がある。そこにあえて「答えの出ない合理的解釈」を試みるからこそ、切り裂きジャックと、そして娼婦たちは永遠の命を得るのである。従って、「無意味に人を殺しまくっていた方が面白い」、なんて解釈をしていては、謎を追求することで進化してきた「人間の好奇心」の大切さすら忘れてしまうだろう。 そんな数ある解釈の中でも、この英国王室絡みの動機は、五人の娼婦殺しの謎と有機的に結びついていて、非常に説得力があり、他の多くの謎の説明にもなっている。 ただ、怪しげなフリーメーソン等、ちょっと雰囲気で誤魔化していて、あまり切り裂きジャックの謎解きとは関係無い部分があるのは残念。史実と違う部分も多いが、あえて変更を加えても、少しだけ希望を残すという終わり方には、いい意味で監督の独自の解釈が見られる。 後世の人間が、こうした謎解きを楽しめるほどに語り継がれる伝説となったことが、殺された娼婦たちに対するせめてもの慰めだろう。 【FSS】さん 8点(2004-08-13 16:56:28)(良:1票)
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