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《ネタバレ》 優れたアニメ作品の見本のような出来。
基本的には泣かせるための脚本だけど、演出センスの良さによって、その「感動させるための計算」を感じさせない。コメディ部分と真面目な人間ドラマの対比のバランスが取れているため、ご都合主義的な展開があまり気にならない。「真剣になるべき部分」で真剣になる彼らの行動が、結果、ラストの感動に説得力を与えている。 この手の「コメディ+ドラマ」パターンの作品は、この「おふざけと真面目さ」のバランスが取れていない場合が多く(真剣になるべき部分や命をかけなくてはならないような難局を「コメディという免罪符」でごまかしがち)、そのため主となるべきドラマ部分にも説得力が無くなっている作品が多いが、今作はその辺りの描き方が丁寧で、コメディ部分がラストに至るまでの感動演出の伏線になるという理想的な展開になっている。 自分が失ったものを捨てられた赤ちゃんに見出し、その子を助ける過程で自分自身の過去を見つめ直し、心の補完をしていく浮浪者たち。その行為は純粋な善意だけではないものの、それゆえに嘘偽りの無い、人間らしい弱さや優しさを感じられるし、その悩み苦しみながらも必死で足掻く生き様は、見ている者の人生にも重なる部分があり、嫌でも泣ける。 OPのスタッフ紹介の秀逸さ、押し付けがましさを感じないデジタル処理の上手さ、背景の丁寧な描き込み等、作品全体にセンスの良さを感じる傑作。 ただ、それでも満点をあげられないのは、脚本自体の「完成された平凡さ」のため。計算が行き届いているのは良いが、それゆえ良くも悪くも不安定要素が無く、展開に意外性が無い。そしてそのまま作品としてあるべき着地点にきちんと着地する「予定調和的な大団円」には少し冷めてしまう人もいるかも。完成度が高いがゆえの欠点と言えるかも。 【FSS】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2004-07-06 13:42:45)
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