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《ネタバレ》 うん、言いたい事は分かりますよ。ただこのいかにも、「人間には闇の部分があり、運命とは残酷なものなんですよ。こういうのが「リアリズム」です!」と言わんばかりの押し付けがましさをひしひしと感じて、少なからず閉口しました。
人生の残酷さや運命の皮肉をテーマに据えた作品は数多いと思いますが、特にこの映画が突出しているという部分は見当たりませんでした。各登場人物も、誘拐事件後の子供時代から現在に至るまでの経緯がほとんど描かれないため、人間描写に深みが無く、子供時代とのギャップも感じます。 また、「ミステリー仕立ての展開と、そこに見られる人間ドラマ」という狙った脚本構成のわりに、肝心の人間ドラマは希薄だし、中止半端なミステリー要素のせいで、どっちつかずな結果になっています。 作品全体を通しては、「真犯人とその動機」という謎解きの原動力で引っ張っておきながら、最終的には、ただの誤解や偶発的事故であるというリアリズムをもって、「現実の残酷さ」というテーマを際立たせようとしますが、しかし、それを表現するためには、やはり登場人物のしっかりとした人間描写をメインに据えなくては成り立たないはずです。登場人物たちの、まるで「設定のための設定」による葛藤の薄っぺらさが目につきます。 「ハリウッド的な軽い映画じゃないんですよ」と言いながら、結局その見せ方は「ハリウッド的」であり、監督や脚本家の自己満足から来る、表層的なニヒリズムやリアリズムしか描かれていないように感じました。 似て非なる作品として「プレッジ」等と見比べてみるのも面白いかも知れません。 【FSS】さん 5点(2004-09-10 16:43:30)(良:1票)
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