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大好きな映画は何本もあるし、どれが一番かなんかを決める事は出来ない。
ただ、人に余り知られたくない映画というのがある。メジャーな作品じゃなく、隠れ家みたいに自分だけの。 この『blue』がそう。 映画館から帰った夜はこの映画の音楽が、景色が、そしてブルーが頭から離れず、しばらく寝付けなかったほど。 まず何より主演の2人が素晴らしい。 遠藤と親しげに話す友達を見た時の、桐島の表情。ムスッとした、だけど声には出せないあの感情。彼女が言う「近くにいても遠く感じる」、この先抱き続ける微妙で切ない気持ち。 小西真奈美は「阿弥陀堂だより」などから清楚で淑やかなイメージしか抱いていなかったからか、タバコの煙を気だるそうに吐き出す姿にはドキリとさせられた。大人びていて、ちょっとミステリアスで、だけどどこか淋しげ。日常の喧騒とは一線を画した様な、ありふれない独特な雰囲気を持つ彼女が見事。 フルショットに固定されたカメラが、丁寧に優しく物語を紡いでいく。 教室、グランド、鉄棒、屋上、青空、海。彼女たちが見ていた風景。 日本映画らしい「間」と「静けさ」が手伝って、緩やかな時間の流れの中なんともセンチな気持ちになってしまった。学生時代という、誰にでも訪れて、だけど一度通り過ぎると二度と戻ることの出来ない特別な時間だからだろうか。 本当に大切で幸せだった時間は、いつも過ぎ去ってしまってからその価値に気付く。 彼女達の記憶の中で、このかけがえのない時間はいつまでも青く輝き続けるのだと。 【紅蓮天国】さん 10点(2003-10-15 16:22:32)(良:1票)
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