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《ネタバレ》 率直に、どういう話だろうという興味で見始めました。あらすじもざっと読み飛ばした程度でとにかく鑑賞し始めました。ちょうど時効制度が効力を持つギリギリのタイミングで殺人を行なった犯人が、時効になった途端世間に堂々と顔を出し挙げ句、「私が犯人です」と公表する。さらにその事件を扱った手記まで出版し、なんなら彼の整った顔立ちも手伝ってある種特殊な有名人として扱われるようになるという。
まあこれはいわば創作の話なので、実際このようなことがあったときに世間がどんな反応をするかはわかりませんが、私は曾根崎がなぜかヒーローのように崇められたりソネ様などと人気が出ることに違和感を覚えます。ただの時効を迎えた殺人犯になんで人気が出るのだろう。話題性があれば、それが自分で5人も残虐な方法で人を殺したと言ってるような奴でもなんでも人々は受け入れるのだろうか。人々なんてそんな無節操なもんだよ、と言われているようでなんだか少しイライラした。 似たような話で、最近安倍元総理を撃ち殺したとして捕まっている山口容疑者なる人物がいますが、彼に対しても一部では同情票があったりなんならカッコいいといった意見があったりするようだ。彼はある種、特定の宗教やそれに関わる政治家への世間の不満を代弁したような形になって、世間からそこまで悪くは言われない。今のところ、「山口狂ってる」とか「彼を早く死刑にしろ」などという声や聞こえてこない。起きた事件の割にはけっこう世間は冷静に彼を見ているように思えた。それが正しいかどうかは知らないが。 もし自分がこのような殺人の犯罪被害者であったらどうするだろう。最愛の人を目の前でこのように殺されて。たぶん私は司法には委ねない。ラストのピアスのような行動に出るかもしれない。東野圭吾氏作『さまよう刃』でも同じことを思った。やはり感情として、そのようなことをしでかした犯人が一般人のように、いや一般人どころか侵した罪のおかげで有名になってチヤホヤされるような状況で、しれっと能書きを垂れたりするのを目の当たりにすると、殺意が湧きますよね。ピアスや、夏帆さん演じる遺族の少女の気持ちがよくわかった。 法に裁かれるべきだ、というのはよく聞かれる言葉だし真っ当だ。しかし、近年になってその法の存在自体が揺らいでいるように思える。それを作り運用する人々の信用が失われてきているせいだろう。自分に都合のよいように法律を解釈したり変えたり作ったり。この映画の主題とは違うかもですが、そろそろそんな時代に限界がきているのでは、と想いを馳せた作品となりました。興味深く拝見できました。 【TANTO】さん [インターネット(邦画)] 7点(2022-08-09 01:36:19)
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