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確かにこの作品には『愛』がないかも知れない。だが、『愛』そのものを直接的にせよ間接的にせよ描いている訳でないとすればどうだろう。 パウダーは生まれ落ちたその日から、『愛』を受けられない。そこに『愛』自体を否定する要素を創り出している。 生長して、ある悲しい事件によって彼の存在が明るみに出る。そこから、外界との接点が強制的に持たれる。ここからが他作(『感動作』と称される作品)との相違。イジメや迫害を受けながらも、心の通う『友達』が出来、そこから麗しい感動劇が繰り広げられる…と言う件を想定している人の眼には、なんとも救いのない作品に映ってしまうだろう。唯一、彼の能力に惹かれ、理解を示そうとする人物はいるも、彼を救う手立てとはならない。これはある意味、人の感情や現実に忠実且つ、素直な作りだと思う。同時に感動を、涙を目的とする作品ではなく、物語を通して観る側が“考える”事を目的としている様にも思える。愛は作品そのものの形とならず、そこから『愛』とはどういうものかを考え、そして自分のものにする。或いは、自分の持つ『愛』を再確認できる―その過程に存在するだけの作品。 ラストの破綻ぶりは自分もガックリ来たが、そこに至るまでに得られたものがある事を評価とします。
【MAZE】さん 7点(2004-05-23 20:56:44)(良:2票)
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