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《ネタバレ》 衛星パンドラとナヴィには宮崎駿の「風の谷のナウシカ」や「もののけ姫」からの影響が感じられる(キャメロン本人もインタビューで言及しているが)、この星そのものがひとつの生命体であるという視点を西洋人はどう感じるのだろうか。
また本作の筋立てですぐに連想するのが「ダンス・ウイズ・ウルブス」「ラストサムライ」あたりだろうか。侵略者である人類の描き方は辛辣だが、自らを振り返ってみれば差ほど誇張でないことがわかる。突き詰めればこれは白人文明に限らず人類が辿ってきた歴史そのものでもある。 と、ストーリーやディティールに既視感はあるものの圧倒的な映像と軽快なテンポ、演出のうまさでぐいぐいと引き込まれる。観客の自分は「悪役」であるところの人類と同種なのに、鑑賞前は不気味ささえ感じた青い肌のナヴィに感情移入してしまう。 部族の娘ネイティリのけなげさ、力強さはこれも西洋白人文化の求める強い女性像なのだろうが、ナウシカにも通じる繊細さも併せ持つ。 映像は圧巻のひと言。3D立体映像と相まってまさにそこにあるかのように画面の隅々まで完璧に構築されている。どれ程多くの才能のある人々が携わり巨額の資金が投入されたのか、目眩がするほどだ。今後当分は技術面はともかくとして、ここまで念入りで手間のかかった分厚い映像にはお目にかかれないだろう。ただ、全体のテイストは狙ったのだと思うが、何か絵画のようで幻想的。緻密ではあるがライブ感というか匂いまで感じるような生々しさというものはあまり感じられない。僕が匂いまで感じる程リアルだなと思うのは「エイリアン」や「ブレードランナー」の世界だ。 2時間半以上の長尺だが、むしろ短いと思ったくらいだった。ハヤカワSF文庫の海外作家の作品を読んでいるような感慨がある。異文化、異文明交流の物語では、その過程を丁寧に説得力をもって描くことが非常に重要だと思うのだが、「ダンス~」や「ラストサムライ」でもそうだったが、本作でも短いと感じた。現実的にこの部分をこれ以上伸ばすことは出来なかったと思うが・・・。世界が非常に丹念に作り込まれているので、観客はいくらでも想像力を広げられる。映画が終わったエンドロールの向こう側でもあの世界が続いていると感じられるし、ナヴィと星の歴史だけでも長編の小説がつくれそうだ。 【ロイ・ニアリー】さん [映画館(字幕)] 9点(2010-12-09 14:05:27)
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