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《ネタバレ》 紛うことなきポン・ジュノ監督作品で、そのあまりのポン・ジュノっぷりに嬉しくなっちゃったりもしたのだけど、さて、アタシは果たしてこれまでポン・ジュノ作品をちゃんとブレずにレビューしてきてたのかいな?って過去作のレビューをチェックしたら、『パラサイト』についてはそのまま過去作品のレビュー読んでもらえばOK、くらいには一貫してたのでひと安心。
とは言え、それだけじゃ不親切なのでちょこちょこっと。 底辺の人々のお話という点で貫かれたポン・ジュノ作品、今回もまたその通りで、上流階級の人々との対比という点では『スノーピアサー』くらいに判りやすい構図を作っているわ。ごちゃごちゃと物で溢れて情報量が多くて、歪み、汚れ、やかましい下の人々の生活と、情報量の少ない、直線と水平で形作られた上の人々の生活。上で情緒を持って降る雨は下に暴力となって流れ込んでゆく。その底辺のやるせなさを、だけどポン・ジュノ監督はいつもの通り、決して美化することなく、コミカルに、そして醜く無様な存在として描くのね。 権力に支配されたシステムの内側での決して勝利のない闘争の滑稽な虚しさ、半地下から地下へと堕ちる父親の到達点、叶うことのない希望。シニカルに描かれた現代社会の縮図。毎回、韓国の今を皮肉るポン・ジュノ監督だけど、日本にも(あの避難所の風景は昨年も何度も見ることになった日本のそれとそっくり)世界にも通じるものなのね。 『グエムル 漢江の怪物』のような家族の姿、『母なる証明』と通じる流れ落ちる水、『殺人の追憶』と共通するラストカット、あちこちにポン・ジュノ印が刻まれている中で、今回は「匂い」がキーになっていて、「匂い」がまるで体内を流れる血を示すようで、その扱い方が上手いと思ったわ。 ちなみに、でもアタシは一家には同情とかしなくて、いちばんキモチを寄せていたのはお金持ちの奥さんね。彼女に訪れた悲劇はあの一家がもたらしたものだけれど、それも結局はシステムの内側に存在していたがゆえ、彼女の魅力的な無邪気さがそれを招いた原因のひとつだとしたら、それは哀しいお話だわ。 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕)] 9点(2020-01-23 20:01:56)(良:3票)
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