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《ネタバレ》 どうしてこうも激しくイマジナリーラインを無視しまくるんだ?という疑問は、やがて会話シーンの正面向きカットバックと、画面の安定をもたらす水平線と垂直線の存在の執拗な反復によって、イマジナリーラインに対する拘りなどどうでもいい、これが小津安二郎という人のスタイルだって事に気付くと共に解消しました。目線が合ってなくても、モンタージュすら危うい状態であっても、独自性を貫く事で理論だけでは語れない世界が広がってくる、と。ややこしいハナシはともかく、大した事は語ってない映画です。父娘二人で暮らしてきたファザコン家庭が、いつまでもこのままじゃいられない、と娘を嫁にやる、ただそれだけの話。でも、とっても豊かなのですね。どうでもいいような会話の中に可笑しさや愛おしさや切なさがいっぱい詰まっていて(同じどうでもいいような会話でもタランティーノのアレとはニュアンスがかなり違います)、何気ないシーンの積み重ねが登場人物への深い思い入れを生みます。ゆえにラストの切なさときたら。終戦間もない頃の日本の、それでも豊かな風景と心に、日本人としての和の和みを与えてくれる映画でもありました。
【あにやん🌈】さん [DVD(邦画)] 8点(2006-07-04 00:59:57)
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