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《ネタバレ》 東映の任侠映画をいろいろ見ていると実は忠臣蔵に近いものがあるのではと思えてくるのだが、本作に出て来る大石内蔵助(堤真一)をはじめとする赤穂浪士たちは関西弁で喋り、ガラも良くないというのが、いよいよ任侠映画を思わせていて、それが変にリアリティーを感じさせているし、時々抱いていた、美談としての忠臣蔵に対する違和感も赤穂浪士をこういうふうに描いていれば、それに対する答えも出ているように思う。中村義洋監督の映画としては「殿、利息でござる」と同様に歴史学者(今回も磯田道史原作かと思ってしまうところだが、違うのね。)が原作で、経済的な面から見た忠臣蔵が描かれているが「殿、利息でござる」同様に軍資金を現代のお金に換算して表現しているので分かりやすいし、面白く、だんだん減っていく残金をちゃんと計算機のような形で表示して見せてくれるのも良い。吉本興業メインの映画ということもあって、吉本芸人が大量に出演していて、笑いの部分がちょっと濃いかなあとは思うものの、それほど気になるということもなかった。勘定方 矢頭長介を演じる岡村がなかなか良い味を出していて、浪士たちを「無駄遣いするなよ」と咎めるところなどちゃんと見ている観客側の立場に立ったキャラになっているのも良かった。この長介が死ぬところが中盤の山場となっているが、公開時の宣伝では堤真一とW主演のように言われていたので、けっこう早くに出番が終わってしまったように感じたのが意外で、それが残念と言えば残念。忠臣蔵といえばクライマックスは討ち入りと決まっているのだが、本作はあくまで赤穂浪士の予算のやり繰りを描くということを徹底していて、討ち入りが予算内に収まるか否かの会議をクライマックスに据えていて、討ち入り場面はシミュレーションだけという形をとっており、それも本作らしいところだが、本作は忠臣蔵でありながら吉良上野介(およびその周辺)が一切登場しないという異色さになっていて、これがかなり新鮮に感じた。大石の妻であるりくを中村監督作品では常連の竹内結子が演じているのだが、山科の別れのシーンでりくが大石に言う最後のセリフが今となっては何だかさびしく感じてしまう。
【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 7点(2024-03-18 00:21:46)(良:1票)
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