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これは「戦争」そのものというより、「狂気が戦争から生まれ、戦争を餌に更に増殖すること」を描いた作品のように思えた。戦場という極限の絶対的暴力の場では、今まで生きて行く上で何重にも貼り付けて来た理性の被膜など、いとも容易く剥離される。そして現れるのは人間の本質。そんな純粋な状態で狂気の渦の中に浸り続ければ、それに毒されてしまうのは明らか。その狂気は人間を苦しめ、逃がしてくれない。1度極限の狂気を見た者は、見る前とは明らかに根本的なところが決定的に変質してしまう。今だってそういう者はどんどん生産されている。恐ろしいことに、この作品で描かれたものは過去の遺物ではない。戦争も狂気も普遍物だ。だからそれゆえにこの作品は、未来永劫淘汰されず残り続けると思う。それが良いことか悪いことか、私には判断が付かない。
【ひのと】さん 7点(2004-02-06 22:41:36)
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