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《ネタバレ》 元気が出る映画というわけでもないし、ためになる映画というわけでもない。カップルで盛り上がるわけでもないし、家族で見るのにも適してないだろう。だけど、この映画に価値がないかというと、決してそんなことはない。なぜなら、「面白い」からである。この映画の本質はエンタテインメントだ。ともすればこのストーリーに文学性を見出す人もいるかもしれないが、たぶんそれは考えすぎだ。この映画の面白さは、文学性を無視したことによって尖鋭化されたストーリーと映像にある。我々は、2時間、映画の匠による、心を動かすための技術を延々見させられることになる。原作者も監督も確信的にエンタテインメントをつくっている。主張も、テーマも、いかにもありそうに見えるが、本当はないと思う。そして、だからこそ面白いのだ。よけいな荷物を背負っていないから、その面白さは、猛スピードで我々の脳内をかけめぐる。冒頭の長セリフから、もうずっとのめりこみまくる。そして観終わった後は、何も残っていない。ただただ感嘆するだけである。それでいい。こんな良質なエンタテインメントはなかなかない。
【コダマ】さん [映画館(邦画)] 8点(2010-07-11 01:10:39)(良:1票)
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