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《ネタバレ》 妻の不倫、そして変死。自由の世界に絶望し死を決意した主人公が、皮肉にも自由を奪われることによって、生きる希望を新たに求めるようになる。しかしその胸中は複雑であっただろう。迎えてくれるはずの愛しい妻は、天国にさえいない。ただ求めるものは”記憶のない海”での再出発だけだ。しかしラストの青い海は確かに皆に向かって”YES”と語りかけているようだった。この映画は、話の展開自体はよくある一人のスーパーマンによる奇跡の物語だが、本当のメッセージは、「必死に生きる」ことの尊さである。しかしその提示を受け止めた時には、一方で我々自身の自由世界で生きることの厳しさをも同時に思い出さされ、一種重苦しくすら感じた。現実世界のざらざらした感触をを麻痺させるような、いわゆる現実逃避型の映画とは一線を画す作品であると思う。だからこそ鑑賞の価値は大であると思う。一番印象強いのは、ラストシーンでうっすらと涙を浮かべて笑っている自分の顔だった。
【神谷玄次郎】さん 9点(2003-12-31 05:57:18)(良:2票)
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