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《ネタバレ》 本来は主人公朝子の心の動きがテーマなのだと思うが、台詞も少なく終始無表情なので、その辺がほとんど伝わってこない。作品としては大失敗ではないか。一方、亮平は饒舌で表情も豊かなので、その気持ちは痛いほど伝わってくる。結婚を目前にして彼女を昔の男にさらわれてしまう哀れな男の物語。そう思ってみれば、この映画はそれなりに楽しめる作品だった。
元彼が現れて破談になるような話は割とありふれているのかもしれない。好きな人がいるのにそれが実らないから、とりあえず身の回りで結婚相手を選ぶが、好きな人が迎えにくればあっさりと婚約者を捨ててしまう。だが、生活のことを考えれば実直なサラリーマンの亮平の方がずっと良いわけで、しかし戻ったとしても二人にどんな未来が待っているのだろう。 朝子は単に不信の目を向けられるだけのことと思っているのだろうが、亮平は怒りと悲しみと彼女の言葉全てに対する不信とその他様々な負の感情に一生苦しめられていくのだろう。ラストで同じ川を見て、亮平は汚いと言い、朝子はきれいな景色と言うが、二人の行き違いを暗示させる重いシーンで幕を閉じていた。 PS. 唐田は当時未成年。初めての恋だったのかもしれないな。高まる気持ちに驚き、どうしていいか分からなかったんだろう。「麦」ではなく「亮平」に出会っていたら良かったのにね。 【駆けてゆく雲】さん [インターネット(邦画)] 5点(2020-08-30 12:11:43)
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