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《ネタバレ》 やはり宮崎駿作品は、なにはなくとも絵を見てるだけで面白い。細密な海の生き物たちの描写から、一転して絵本のように単純で素朴な絵が出てきたりする、手書きならではのダイナミズムが楽しい。ワーグナーの音楽(『地獄の黙示録』……)とともにポニョが津波の上を駆けてくる場面は戦慄ものだ。冷静に考えると嵐の夜に女の子が海上を走って追いかけてくるのだからちょっとしたホラーだが。半魚人状態のポニョはクトゥルー神話の住人にしか見えなくて、けっこう怖い。
また津波シーンと並んで感じ入ったのは、ポニョが宗助の家を訪れた際の一連の牧歌的なやりとり。ごはんがおいしそうなのはいうまでもないが、安全に保護された状況で、幼い子どもが日常のささやかなことごとをたっぷりと享受する、あのぬくもりに満ちた情景の描写が素晴らしい。 ジブリがプロの声優を起用しないのは話題作りというよりは素人俳優を使いたがる映画監督と同じで、演技らしくない生っぽさを狙っているんじゃないだろうか。単に宣伝目的ならもっと旬の人気者を採用するはず。声優って上手いけれど割とオーバーアクトだし、人によっては人工的過ぎる声音だったりもするから。本作の芸能人の声優起用がすべて成功しているかどうかはともかく、ポニョと宗助を務めた子役陣は文句なしに良かったと思う。前の木村拓哉だって良かったし、個人的にはそこまで目くじらを立てて批判しようとは思わなかった。 【no one】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-07-28 23:20:21)(良:1票)
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