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《ネタバレ》 故手塚治虫先生の「鉄腕アトム」誕生の時代に、果たしてこのような映画が登場することなど誰が想像したでしょうか。ロボットはヒーローである。悪と戦う正義の味方である。そんな刷込みをされた自分らの世代にとっては、この作品に登場する、何の違和感もなく日常の生活に溶け込むロボット達には少しばかりの失望と驚きを感じました。ロボットを当たり前の存在として描けること。何ら特別な存在ではないこと。映像技術の発達に伴い、簡単(ではないだろうけど)にしかも普通に描写できる作品に出会えるなんて。サニーの造形も素晴らしくどことなく哀感を誘う目の表情やしぐさ、より人間に近い「形」がリアルな世界観をうまく見せています。未来社会におけるアナログな人の暮らしぶりも面白く、ウィル・スミスが履くコンバースなどもいい小道具です。人間の便利な道具として発明されて、人間の都合により廃棄されていくロボット。その哀しみは、機械の身体には分る訳もなく、苦悩などもインプットはされていません。でも、サニーにはアトムと同じ血が流れているようなそんな気がします。ラストの戦闘で、ウィル・スミスの「彼女を助けろ!」に感情を持って応えたのが凄くいいです。(映画的には伏線を張っておいたのですが)ウィル・スミスを信じて投げた、あの場面こそがこの作品の大きなテーマだと思います。最後、遠景で映される丘はまるでイエス・キリストを見つめる人々のように、ロボットの群れをずーっと見せていきます。ロボットと人間とのよりよい共存のためにサニーがいること。サニーが選ばれたこと。サニーが頑張るんだろうな。だって、ロボットはヒーローなんだもの。
【映画小僧】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-05-28 10:24:45)
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