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これは絵空事ではありません。全世界が驚愕した事実です。世界貿易センタービルの崩壊シーンがTVで繰り返し流れる度に、テロの恐ろしさ、忌わしさ、そして、結果たくさんの人々が犠牲になっています。最初、この映画はビルのシルエットが象徴的なポスターで知りました。2本のビルの間に小さな小さな人間のシルエットがふたつ。本編の主人公である2人の警官が立っている有名なポスターです。監督がオリバーストーン。政治的な匂いが漂ってきそうな、そんな印象を受けました。しかし、映画は実に淡々と、真正面からこの災害を、瓦礫に埋もれ必死に生きようとする人間を描いています。テロだとは知らず、ビルが全て無くなった事も知らず、2人は互いに声を掛け合い、生きようとします。妻を想い、子供を想い、家族を想う。生きるという行為にすがる手だてが、やはり自分だけの命ではなく、家族あっての自分だというのは、どこの国でも同じ。暗い画面の向こうで交わされる2人の会話に胸が震えます。また、彼等を助けようとする人々も、名声や報酬が欲しい訳でもなく、ただ人間の素朴な本能に基づき、崩れそうな瓦礫の中に挑みます。大袈裟な演出もなく、ただ感傷的に盛り上げる音楽もなく、どちらかというと地味に作り上げられた作品です。映画以上に事実としてのドラマがそこにあったからなのでしょう。映画の最後、元気になった2人が感謝の会で見せた笑顔に涙がこぼれました。重い涙でした。心の充足というよりも、受け止めねばならない問題を観る者に与える映画でした。とりとめのない感想でごめんなさい。ただ、多くの人に観て欲しい作品ではあります。
【映画小僧】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-10-10 09:51:19)(良:2票)
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