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レビュー情報
《ネタバレ》 被災地の状況を映像に残しておくべく、この時期に作られたと思います。後世から見ると、TVドキュメンタリーなどの手法で映像化した作品には前後関係等の説明が必要になり「観る」という端緒につくまで時間がかかります。いま、むかしの記録映画なんか観るとしたら「資料として」でしょ? あ、「民族の祭典」は除外します。その点フィクションとして製作されれば、物語世界に引き込むだけのドラマツルギーさえあれば、現実に起こった現象を象徴的に物語として描くことができます。観終わって、園子温はとにかく「このことを映像作品として残したい」という思いでこの作品を作ったのだということが伝わってきました。架空の場所(本人曰く、広島、長崎、福島を組み合わせて長島だとのこと)での寓話として、まるでギレルモ・デル・トロの「パンズ・ラビリンス」を観ているような… 発生したときやその後の報道、1周年にオンエアされた数多くのTV番組で見てきた多くの映像を、また違う角度で切り取った画面の圧倒的な感じに打ちのめされました。雪に被われた風景には特に。違う時期に撮影されたおなじ場所の映像に表れてくる差異が、打ち棄てられた街を浮かび上がらせてくれます。オーディオショップを背景にしたシーンね。「声」の人 大谷直子の「帰ろうよ」とともに心に深く入り込んでくる作品でした。
【shintax】さん [映画館(邦画)] 8点(2012-10-30 22:50:42)(良:1票)
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