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《ネタバレ》 一握りの天才や偉大な指導者のおかげで、私たちの文化文明は発展を遂げてきたのだと考えます。その他大勢はその恩恵を受けてきただけ。何か申し訳ない気がする。人は“社会の歯車”と称されますが、自分の存在などちっぽけ過ぎて、小さなビスにも満たないと思えます。たった今、自分が消えたって何の支障もなく世の中は回っていく。それが現実。生きている意味を考えた途端に、自己の存在価値を見失う。だから、売れないロックバンド『逆鱗』のたった1曲の歌が世界を救うという筋書きに、強く勇気付けられました。自分も生きている意味がある、そう思えることが本当に嬉しい。『フィッシュストーリー』という楽曲にスポットが当たっていますが、見方を変えれば実に多くの人たちが世界を救う役割を担っていたことに気付きます。原作を日本語訳したハーフ顔の男、その本を家に持って帰ったおばさん、正義の味方をコックに雇った汽船会社の人事担当、多部ちゃんに数学の楽しさを教えた先生…。“友達の友達はみな友達だ”ではないけれど、世界中全ての人が何かの役に立っている。こじ付けかもしれない。でも、こんなホラ話なら大歓迎です。ただ、物語の構成自体はテクニカルだとは思いませんし、『アヒルと鴨~』もそうでしたが、ストーリーに中弛みを感じるのは中村監督の短所だと思います。でもキャスティングの的確さとメッセージを伝える技量の高さがマイナスを十分に補っていると感じます。今後も原作伊坂+監督中村のコンビに期待します!
【目隠シスト】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-03-30 21:05:33)(良:5票)
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