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《ネタバレ》 淡々と綴られるのは、一人の老人男性の日常。決まりゴトの繰り返し。映画らしい刺激的なイベントは何も起こりません。ただ、シーンやカットごとに監督の意図が伝わるので退屈はしませんし、会話劇としては、なかなかのものでしょう。一筋縄ではいかぬ言葉のキャッチボールは、多分邦画では無理。というか、日本語でやられたら鬱陶しい笑。ただの軽口ながら、文学的でもあり、哲学的でもあり。そして主役の爺さんの味わい深さは、一流でした。枯れた色気とはこのこと。見応えは充分です。“面白い”という表現が適切かどうか分かりませんが、“染みる”映画であるのは間違いありません。ハリウッド娯楽大作が、1から10まで懇切丁寧に“楽しみ“を与えてくれる映画だとしたら、本作が与えてくれるのは、多分1か2。残りは、観客それぞれの知識・経験・信念・価値観等で補って完成させる仕組みです。自身と照らし合わせて反芻すること頻り。ですから、若造(と言っても、もう40半ばです)が分かったような口を利いたらいけない気がするのです。私も主人公と同じくらいの年齢になって、初めて“理解できるもの“があるのではないかと。勿論年齢だけ重ねれば、自動的にその権利を獲得できるワケではありません。日々失われていく若さと引き換えに、きちんと宝(あるいは武器)を蓄えなければ、解るはずもなく。いやー『少年老い易く学なり難し』とはよく言ったもの。本当に怖いことであります。タイトルがまた秀逸なことで。これを額面どおり素直に受け取るか、皮肉と取るか、みなさんはどう思われますか?10年ごとに、自身の生きてきた成果を量るべく中間テストのように観てみたい映画。点数が低いのは、前述した理由からです。以下余談。摩訶不思議な雰囲気のあった『exit』の解釈次第で、実は物語がひっくり返る可能性あり(あのシーン以降、◯◯の世界とか)。リンチが役者として出演しているだけなのに、妙に引っかかるのが、なんともはや苦笑。
【目隠シスト】さん [映画館(字幕)] 6点(2018-08-20 08:54:51)
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