屍人荘の殺人 の 目隠シスト さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > シ行
 > 屍人荘の殺人
 > 目隠シストさんのレビュー
屍人荘の殺人 の 目隠シスト さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 屍人荘の殺人
製作国
上映時間119分
劇場公開日 2019-12-13
ジャンルコメディ,犯罪もの,ミステリー,青春もの,小説の映画化,ゾンビ映画
レビュー情報
《ネタバレ》 『吹雪の山小屋』や『絶海の孤島』といったミステリー常套の『日常遮断』状況を、『ゾンビ』を用いて成立させたアイデアは『いちご大福』なみに斬新で、さらに『ゾンビ』の特性を密室殺人のトリックのタネ仕込んだり、徹底してグロテスク描写を排除したりと、ミステリーとしてもゾンビ映画としても、意欲作であるのは間違いないでしょう。まず注目したいのが『ゾンビ』の定義。一般的には以下の条件を満たすものが『ゾンビ』と考えられます。①死人であること②人を食らうこと③知能減退と感情喪失④ゾンビに噛まれるとゾンビに変わること⑤頭が急所であること⑥もう人間には戻れないこと。細かな条件はもっとあるでしょうが、大まかこんな感じ。さて本作の感染者たちは『ゾンビ』と言えるでしょうか。答えは『わからない』。③④の条件は満たしていますが、②⑤は微妙(食らうというより噛んでいるだけ。ゾンビじゃなくても頭を破壊されれば死ぬでしょう)、①⑥は未検証です。にも関わらず館に立て籠った人たちは早々に『襲ってくる顔色の悪い人』を『ゾンビ』と認定しました。これをもって『短絡的』とか『あり得ない』と非難する気はありません。トイレに落ちてた『かりんとう』は、もう『アレ』にしか見えないのと同じ。それより、イチホラー映画の架空の設定が、常識化している事実に感動します。ホント『ゾンビ』は偉大な発明です。さて、次の焦点は『ゾンビ対処法』。人々が取った作戦は専守防衛でした。これは当然の選択です。救助が来るのは時間の問題ですから。彼らは『正当防衛』でしかゾンビを殺していません。ただし『殺人(殺ゾンビ)』の倫理ハードルは常識より遥かに低く設定されています。これは『武器』を手にした効果と考えます。映画『トレマーズ』のガンマニア夫婦同様、『武器』があるなら使いたいのが人情というもの。死が隣り合わせにあり、武器を手にし、倫理ハードルが異様に低い状況で『復讐』は決行されました。もちろん犯人には『覚悟』がありましたが、土壇場で踏み留まる可能性も十分にあったでしょう。また犯人は『ゾンビにすれば2度殺せる』と憎しみの感情を吐露していますが、『一度ゾンビにしてから殺せば心が痛まない』理由もありそうです。いずれにしても『環境』が『復讐』を後押ししたのは確か。『場の空気』とはかくも恐ろしいものです。そういう意味で、比瑠子ちゃんが明智ゾンビを殺した件も『場の空気』に違いませんが、彼女の場合は積極的に利用したのです。そもそも比瑠子ちゃんが明智と葉村くんを合宿に誘ったのは、ワトソンを明智から奪い取りたかったから。優秀な人間は千載一遇の好機を逃しません。迷探偵から名探偵へ『ワトソン君の移譲』が本作の裏テーマでありました。本作は、いわば新探偵コンビ結成エピソード。そうだとしても、明智恭介という愛すべき超優良キャラクターを葬った罪は重大であります。責任を取って比瑠子ちゃん&葉村君コンビが活躍する続編をつくって頂きたいと思います。できればコメディ強めで。
目隠シストさん [CS・衛星(邦画)] 6点(2020-10-25 08:26:33)(良:1票)
目隠シスト さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-04-22黄龍の村7レビュー6.75点
2024-04-16ある閉ざされた雪の山荘で7レビュー5.00点
2024-04-12大河への道8レビュー5.75点
2024-04-07隣人X 疑惑の彼女6レビュー6.00点
2024-03-10アンブレイカブル9レビュー4.56点
2024-02-28マダム・ウェブ6レビュー5.62点
2024-02-24ボーはおそれている5レビュー5.60点
2024-02-1121ジャンプストリート7レビュー6.00点
2024-02-09嘘八百 なにわ夢の陣6レビュー4.50点
2024-01-29スカイハンガー3レビュー3.00点
屍人荘の殺人のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS