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《ネタバレ》 同じ人間であるけれど、環境や生まれもった特質によって生きかたや感じ方が違う。
みんな生きているから、人の数だけ悩みがあり葛藤があり、そこにはリアリティがある。 「その多彩さを、不思議さを、妙を、無常を描きたい」。 自分が生まれ育った環境にはじまり、成人してあるいは監督として活躍するようになって色々な世界を知り、イニャリトゥ監督は純粋にそう思ったのじゃないだろうか。 だから、ドラマチックなストーリー性はないといっても過言ではなく、部分的に関係を持つ事象の断片が、つなぎあわされていく。ストーリー性を期待してみると、肩透かしを食らった気になるのかもしれない。 描かれるのは、その場で起こったエピソードと関わる人々の動きだけ。我々はそれを見ながら、自分の出自や文化的背景にとらわれながらも、立場や環境の異なる登場人物たちの心の動きやその背景を追うことになる。 各エピソードでリアリティを描くことに成功したとは、少なくとも私には断言できないが、監督の野心的で素朴な姿勢と、かつ情緒的に過ぎない視点が印象に残った。 余談だが、お手伝いさんと村の中年男のラヴ・シーン、あれは冒険ですね。 男女のむつみあいに美も若さもへったくれもないのだ! 美しいハリウッド・スターの夢のようなラヴ・シーンと、彼らのそれのどこが違う!思わず微笑んでしまうとともに、それを描いた心意気が気持ちよかった。 【nadiend】さん [映画館(字幕)] 8点(2007-05-18 15:48:26)
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