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《ネタバレ》 最初のうちはいいかなあと思ったの。陰気な雨のなかを傘がゆき、能面をつけた女が出てきて、情念の世界がドローンと淀んで迫ってきて、本作はこういう線でいくんだなと思っていると、狂四郎がなにやら反省し「いい人」になりかかって戸惑った。しかしそれもまずは受け入れようと思った。映画は不特定多数の観客に提供するもので、ある程度「いい人」の要素を入れないと企画が通らないんだろう、とそこまで妥協して見続けた。でもそれも「黒ミサ」までだったかなあ。ヒーロー像問題以前のシナリオの質の点で問題ありでしょ。蛇使いの女はあれなに? 善人狂四郎が必ず助けると予定して、簀巻きで河に投げ込まれていたわけなの? 風魔一族の末裔の尼さんとか爆殺の計画とか、もうドラマが連続せずシーンシーンで切り替わってるようで、呆然(このまわりくどい爆殺計画も狂四郎が「印籠を恵んでくれるいい人」を前提にしている)。狂四郎が「いい人」のぶん、嵯峨三智子が「拗ねもの」を担当してるのね、とそこにすがったが、彼女も最後にはいい人が感染し、少年を殺せず苦悶する。弓矢で襲ってきた城侍たちも、狂四郎にとどめを刺さず、面倒にも縛っただけで逆転されてしまう(一応少年と交渉する材料に使ってはいるんだけど、最初は殺意あったよなあ)。ニヒルな無頼の徒は少年に「振り返るな、前に向かって歩くんだ」と最後に人生訓を垂れるのであった。
【なんのかんの】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2013-10-26 09:52:17)
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