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《ネタバレ》 水の上の閉鎖空間ということで「春夏秋冬そして春」の浮き堂を思い出すが、こちらで閉じ込められているのは姫。(「魚と寝る女」とも類似性がありそうだけど未見)。王子に助け出されるまでの本当に骨格だけの寓話で、よくぞここまで削ぎ落としたと褒めてもいいが、痩せすぎてるとけなしたい気持ちもある。じいさんが単なるエロおやじでなく、精神性を感じさせる人物なのが大事だ。言葉というものがいらないまでの一体感で暮らしていた船、弓は外へ向けては武器になり、内に向けては愛の調べを奏でる楽器になる。その弓のように張りつめていた精神性。とにかくこの監督が描く愛は、ひとつとして市民社会に受け入れられるようなものはない。そういう愛の世界が船上に築かれていた。そこに外の音楽が入り込んでくる。別に張りつめてなく精神性も感じられないけれど、その凡庸さが心を穏やかにするような音楽が、ヘッドホンから聞こえてくる。それが外部。市民社会の音楽だ。姫の救出がひとつの高貴な王国の崩壊となるのも、寓話の宿命であろう。
【なんのかんの】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-12-18 12:30:06)(良:1票)
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