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《ネタバレ》 素直に面白かった。
序盤の見せ方は逸品で、これ以上ないくらい巧かった。実写の映画では不可能な味わいを作り出すことに成功しており、日本の絵によるアニメでも難しいのではないかと思う。モデリングで作り出されたキャラが発する説得力は、他の見せ方にはないものを持っている。 物語の作りはこれ以上ないほど丁寧で、入り口に感動的なパートを持ってくることで、子供を連れてきた親が引き込まれる。そのままそこから始まる冒険譚に子供と一緒に入っていくことが出来る。観る人のことをよく考えた優しさが良い。 目のつり上がった東アジア系の太ったあまり利発でない、鈍重な少年というキャラクタを冒険の助手にしたあたりが非常に考えられている。おそらく子供像としても一般的にあまり好かれないキャラクタをわざわざ狙い撃ちで作り上げている。このことでカールじいさんが優しさにあふれる人格を取り戻す様子をきちんと見せることが出来ており、ラストシーンでの泥だらけの少年をスルーする会場の“日常的冷たさ”や、その後のそっと座る親族の女性やじいさんとの優しいやりとりで、やっぱりこの少年に対して親近感を抱けなかった受け手の、本質的な冷たさを反省させる。いい話だ。 日本では寓意を「説教臭い」と言って受け入れない風潮が醸成されているようにも感じるが、そういった受け方が一般化しては他国作品の持つ感性に置いていかれる層が拡大しないかと思ってしまう。 子供連れの客が、自分の子供にこの映画の粗探しをさせる。それでも自分の子供にはわざわざ得意顔で反論など彼らはしない。自分の子供にはいい人を演じるためのダブルバインドだ。 そういう事をする大人がいる世の中が有るとすれば、それは相当に荒れた世界だとは思えないだろうか。 【黒猫クック】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2010-04-25 16:56:47)
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