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《ネタバレ》 涼しい夏だった。薄暗くなった空にこびりついた雲はいびつな綿のように僕たちの頭の上を覆っていた。気がつくとそんな日ばかりの記憶が残っている。
ビートルジュースを僕が見たのは劇場で上映されていた時よりもずっと後になってからで、賑やかな街が少しずつ静かになっていった頃だった。だんだんと暗い話題が多くなってきて、聞きたくないような話も入ってくるようになっていた。 彼女がいなくなったのはそんな頃だった。クラスの人気者というわけでも、目立たない美人というわけでもないクラスメートだったが、まるっきり空気の様な存在感という訳ではない普通の、クラスの中に良くいる女の子だった。 突然居なくなった彼女は、だんだんと忘れられてその後のクラス会で話題に出ることも無くなった。でも、どう言うわけか梅雨の季節とか天気が悪くて薄寒い夏にふと思い出す。どんな話題だったかも分からない、何でも無い会話をしている風景が頭に思い浮かぶ。その時代は、街の至る所から活気が吹き出してきて、明るい時代だった。 でも、彼女の顔はもうぼんやりして思い出すことが出来ない。そして彼女がふと僕の頭に浮かぶとき、どう言うわけか同時に出てくるのは西川のりおが下品なジョークを繰り出す、ビートルジュースなんだ。 【黒猫クック】さん [DVD(吹替)] 7点(2012-06-23 00:40:44)
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