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主人公のピーター・パーカーがぐちぐちと悩む。正直、結構秀才なんじゃ無いのかあんたはと言う位の科学者の卵だったりしながら、彼女が出来て金持ちの友人が居て、夜な夜なこっそりNYを護っている。そう言う彼がぐちぐち悩んでいるから面白い。
普通の人は、上司が馬鹿で悩んだり、自信のなさに悩んだり、成績で悩んだり、彼女が居なくて悩んだり、友達が居なくて悩んだりとか。とにかくぐちぐち悩んで当たり前というか、悩んで当たり前なのを日々何となく小さな喜びで前進していったりするのだ。 何でもありでも凄く人間的に色々ややこしくて、見ていて不思議と感情移入できてしまうヒーローっていうのがなんともアメコミで、痛々しいスパイダーマン。 いちいち悩むな、とかついつい突っ込んでしまうのだが、仮に彼が全然悩まなかったらはっきり言って私らは完全敗北な訳で、ちょっとIT企業の役員さんなんかに居酒屋で出くわしたくらいのことで敗北を禁じ得ないでいる普通人にとっては、丁度良いダメさを纏ってくれているのだったりする。 なるほど、受け手に優しい痛々しさな訳である。MJがブスなのも、これがもの凄く可愛かったりして見ると突然脇の甘さがなくなってしまって大変だ。ピーターが悩まない、大学生活をエンジョイしてNYでブイブイ活躍してその上可愛い彼女が存在したあげく、金持ちの友達と上手くやれてしまっていたら学年に一人位は居る、勝ち目の無いイケメンで秀才で金持ちになってしまう。コイツの成功談話を聞きたくないから同窓会が嫌だな的な、そんな勢いが付いてしまうから気をつけたい。 色々考えると、ヘンテコで古くさいモチーフを使い回さないといけない老舗アメコミで、アメコミ必殺のめんどくさい主人公で、どうでも良いような事で皆が争って。これで良いんだよな。日常の痛みを彼らも戦ってるような気がして、なんか妙に等身大なんだ。 ここがスーパーマンとの最大の違いか。良く、大雑把で、超能力で何でも解決できて御都合主義でと言うのがアメコミの様に捉えられている節があるけど、それは極端かもしれないが古代の単体スーパーマンというマンガだけだろう。アメコミは世界で一番ぐちぐちと悩むマンガだ。最近はスーパーマンでさえバットマンと言い争いをしてぐちぐちと悩むらしい。 そう言う訳で、この映画は非常にアメコミ然として良い雰囲気で、結構好きだったりする。 【黒猫クック】さん [DVD(吹替)] 7点(2013-01-28 05:19:19)
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