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《ネタバレ》 これは映像美を楽しむ映画でしょう。ベートーベンのシンフォニーをがっちりと受け止めて見劣りしない映像って、ざらにはない。「ザ・セル」もそうだったけど、この監督独特の表現は確かなオリジナリティだ。その中で、存在感を発揮している石岡瑛子の衣装美術には拍手を送りたい。少女の励ましが救いになって、生きることへの意欲を取り戻す青年はどうでもいい。最終的に銀幕の世界に(チョイ役で?)復帰できたようだけど、あのまま死んでいただいても、この映画の評価が変わることは無かったでしょう。だけど、エンディングに挿入されたモノクロのスタントマンの映像集には、心を打たれるものがあった。実際、この映画の青年のように障害が残りかねないケガをした人もいただろうし、大事に至ったことも多々あったはず。この映画が見せてくれた映像美の世界とは裏腹な、映画産業の成長と繁栄を陰で支えた仕事、というものに思いが巡り、原題「The Fall」(…落ちる人、堕落)の意味を改めて考えさせられた。
【2012/1/30 追記】衣装美術を担当された石岡瑛子さんが亡くなられました。今では日本有数のグラフィックデザイナーになったH氏と過去に一緒に仕事をしていたんだけど、そのH氏が駆け出しの頃の師匠(?)が石岡さんで、よく酒席で逸話を聞いた。充分に厳しい人に見えるH氏が石岡さんを語るときには「畏れ」が感じられ、創造に関してとことん厳しく強い人というイメージを抱かされた。NHKの追悼番組「プロフェッショナル」を観たがそのイメージ通り。一緒に仕事をする人たちの苦労を描いているところに妙に共感してしまった。創造と格闘し続けた凄い方でした。冥福をお祈りします。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-09-25 02:07:27)(良:3票)
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