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《ネタバレ》 ヒューマニズムの洪水みたいな映画。観る側に先入観を与えて環境にネガな印象を持たせたうえで、3時間掛けて色んなことをじっくりと説得される。保本(加山雄三)と入れ替わりに去る医師(江原達怡)のように馴染めない人もいるだろうが、私はコロッと説得されたクチです。最後は保本と一緒に、心地よいコミュニティに包み込まれるような充足感と希望をいただきました。ほとんどのエピソードに女性が様々な立場で絡んでいて、その多彩さで長尺を飽きさせない。全部は書けませんが、おとよが保本に恋心を抱く流れに和み、賄いのおばちゃんたちにダイコンでボコ殴りにされる杉村春子に笑わせてもらいました。縦軸には青年医師の成長がありますが、実は女性を描いた作品ですね。三船敏郎は大活躍という類いではなく、大地のような安定感と存在感で物語を支えます。ちょっと前なら志村喬が演じていた役目だけど、それを勤めて黒澤映画を卒業したんだなという感想です。波状攻撃的に連なる予定調和や役者のアドリブが入る隙間も無いような演出は、全てを計算し尽くす黒澤スタイルの完成型なのだと思います。
【アンドレ・タカシ】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2011-02-03 00:07:19)
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