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《ネタバレ》 映画の世界では、悪人は簡単に人を殺す。そしてヒーローも簡単に悪人を殺す。2時間で終わる映画にその後があったなら、登場人物たちはそのままの人生を送れるのだろうか? 本作は彼らのその後を描いた、言わば娯楽映画の裏側を見せるような作品でした。それぞれに過去がある登場人物たち。昔の栄光にすがっている賞金稼ぎ。正義という大義に依存してやりたい放題を続ける保安官。そして、過去の悪行が呵責となっている元極悪人。彼らはそれぞれに「許されざる者」だったと思う。だた、元極悪人のイーストウッドを「許されざる者」と呼ぶとき、それは断罪しているのではなく、悔恨を背負った状態を指した言葉でした。死んだ奥さんとの生活が自分を更生させたと、まじないを信じるように言いすがる。「俺は変わったんだ」。そのしつこさにガンマンのカッコ良さは微塵もなく、自身の肯定や自己憐憫は哀れでさえある。しかし少なくとも、悪に対して粛清意識が暴走する保安官よりは共感できる。イーストウッドが過去に演じたガンマンを普通の人にしてその後を覗いたら、地味でも深い物語が姿を現した。監督としてのイーストウッドの作風が変化して行く出発点が本作だったと思います。主人公像の変化を俯瞰した時、「荒野の用心棒」と本作、そして「グラントリノ」は一直線に並ぶ作品という印象です。
【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2011-04-23 00:35:22)(良:2票)
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