希望の国 の 民朗 さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > キ行
 > 希望の国
 > 民朗さんのレビュー
希望の国 の 民朗 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 希望の国
製作国,,台湾
上映時間133分
劇場公開日 2012-10-20
ジャンルドラマ
レビュー情報
《ネタバレ》 観た感想を率直に言うと、今観れて良かったです。劇中では何度かこんな言葉が繰り返されます。ニュース番組のキャスターは「大変な時こそ大きく騒がないで大きく構えていきましょう」、お笑い芸人は「こんな大変なことは置いといて僕らはお客さんを笑わせますよ」とか。人間は嫌なことや辛いことを忘れる能力が備わっている生き物です。大抵の人がご自身で被災されたり肉親を震災で亡くさせたりしなければ夜に悪夢で飛び起きたりすることは無いでしょう(テレビじゃ一応今でも日本中の人に傷跡がとか言うけど)。誰だって震災から1年半以上も経つと目の前の仕事とか生活とかの方が身近な問題になってしまう。今じゃニュースも新聞も被災地の状況より原発の再稼働の是非の方をよっぽど大きく報道するようになっている。
その1年前の出来事が段々過去になりつつある今、福島以外の原発が爆発してしまったら、というifを描いたのが本作です。この前、園監督の自伝を拝読したのですが、監督は前々作の「ヒミズ」で福島の被災風景をスクリーンに写したことでかなり非難の声を浴びたそうです。無神経であると。しかし福島の方には、よくぞ撮ってくれた、忘れ去られずに済んで良かったと感謝されたそうです。本作はその「ヒミズ」の被災風景のみで構成された映画と言えると私は思いました。つまりあの震災当時あったことそのものを今描こうと。皆は過去の出来事にしようとしているが、今一度思い出してみようと。私は本作を観て自分が震災を忘れようとしていることを自覚できましたし、そんな自分を仕方ないと許すと同時に恥じました。本当に今この映画を劇場で観れて良かった。
ただ映画としてどうかというと手放しで喜べないシーンも多いと思います。一番ガックシ来たのは、痴呆症で勝手に避難指定区域に入ってしまった大谷直子を何の理由も無しに夏八木勲が見つけてしまうこと。折角結婚指輪の話も入れているのだから、かつて思い出の場所だったから分かったとか何か一つ理由が欲しかった。ピアノがポーーンと一音だけなる音楽が繰り返されるのもそれを聞くだけで映画のテンポが死んでしまっている様に感じてしまい残念。マーラーの荘厳な音楽も繰り返されるとちょっとキツい。
ただし役者さんの演技は抜群に良い。特に夏八木勲と大谷直子の老夫婦はどう見ても長年本当に連れ添った夫婦にしか見えず、最後のキスシーンには非常に感動させられました。
民朗さん [映画館(邦画)] 7点(2012-10-31 22:29:02)(良:2票)
民朗 さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2017-12-18スター・ウォーズ/最後のジェダイ8レビュー5.79点
2015-10-28アラビアのロレンス9レビュー7.94点
2015-10-23ジョン・ウィック7レビュー5.91点
2015-10-23フレンチアルプスで起きたこと9レビュー6.53点
2015-10-23テキサス・チェーンソー5レビュー5.76点
2015-10-14マイ・インターン6レビュー6.72点
2015-10-08バクマン。8レビュー6.79点
2015-10-02キングスマン8レビュー6.81点
2015-09-24バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)9レビュー6.35点
2015-09-23クロニクル8レビュー6.63点
希望の国のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS