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《ネタバレ》 ストーリーはとてもシンプル、「紛失したネガを探しに世界中へ。何とか見つかりました。終わり」。この映画を観て、一本調子過ぎて詰まらないと仰る人もいるかも知れない。でもこのシンプルなストーリーには大きな人生の教訓が詰まっていると思います。
テーマは分かり易く「何かに挑戦すること」の大切さ。これは大人になればなる程難しいことです。主人公・ウォルターは空想癖を持つ中年男、空想の中で冒険を繰り返しているが実際に冒険をしたことはない(フェニックスに行ったことしかないってのが泣けますね)。そんな彼が空想に背中を押され安全の保証のない旅に出て、やっと一人の大人に成長していく物語。個人的な話になってしまいますが、なんとなく自分がカラッポな存在だと感じていた大学時代、貯金を崩してウクライナやらポーランドやらインドやらネパールやら、色んな国に現地語も覚えないままにバックパックを背負って一人旅したことを思い出しました。劇中のウォルターと同じで"何が待っているか分からない"、"安全の保証はない"のに行くってことが大事だったと思っています。この時の経験は社会人になった今でも役に立っていると実感することが多いです。この映画はそういう事を伝えようとしていたのではないかと私は解釈しました。安全でない一歩を踏み出す勇気という事を。 グラフ雑誌のLIFEの廃刊騒動を舞台としている為か、ウォルターが回る世界中の絶景の美しさは勿論のこと、ある場面ではモンドリアン風だったり、エッシャー風だったり画的に凝っていたのも大変面白かったです。 余談ですが、監督のベン・スティラーは今まで『ケーブル・ガイ』や『トロピック・サンダー』、『ズーランダー』等の作品で「空想や冗談が現実になったら面白いよね、バカみたいだよね」と非常にシニカルな姿勢を取り続けていたと思いますので、本作で空想を現実にしてしまう主人公・ウォルターを勇気のある素晴らしい人生を勝ち取った男として讃美しているのには驚きました。彼のちょっとブラックな要素が入っているコメディも大好きですが、本作のような直球の感動ドラマももっと観てみたいです。 【民朗】さん [映画館(字幕)] 9点(2014-03-22 01:32:32)(良:1票)
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