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《ネタバレ》 才人ジェイソン・ライトマンの監督デビュー作、映画監督の処女作にはその人の個性がすべて詰まっていると言われますが、まさにその通りと言うべき一編です。私はこの人のストーリー・テリングのリズムが好きなんですよね。オープニングから中盤にかけての展開はもうすこぶる快調です。ハリウッドの中堅として活躍しているアーロン・エッカートの数少ない主演作ですが、もうこのニック・ネイラーはこの人しか考えられないという当たり役だったんじゃないでしょうか。マイケル・ダグラスみたいな頑丈そうな顎をしていて、ウソ臭い笑顔を浮かべながらペラペラと詭弁をまくしたてるところは最高に愉快です。いろいろと痛い目に遭いながらも、ラストでは例の笑顔を浮かべながらしゃべくりを活かした別の職業についている彼、それでも人間的な成長はあったんだという視点で閉めてくるところが良かったです。この監督は色んな刺激的なプロットを詰め込みながらも話を大きく広げない脚本を書くのが得意なので、ちょっと物足りないと感じる人も多いかもしれませんが、小品映画を撮るには正しい方法論だと思います。 そう言えばタバコをテーマにした映画なのに、登場人物が喫煙しているシーンが劇中で皆無なんですよね。まあ言われなくても理由は判りますが、ちょっと不思議な感じがしました。そして上院議員が過去の映画からタバコを画像処理して消してしまえと主張するところ、日本でも最近『風立ちぬ』の喫煙シーンの多さを一部のアホが非難していたことを思い出させてくれて、ちょっとゾッとしました。
【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2014-03-09 21:15:32)(良:1票)
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