ジョニーは戦場へ行った の S&S さんのクチコミ・感想

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ジョニーは戦場へ行った の S&S さんのクチコミ・感想
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《ネタバレ》 反骨の脚本家ダルトン・トランボが監督として製作した唯一の作品で、自作の小説の映像化です。1939年に書かれた小説で第二次大戦時と朝鮮戦争の間はその強烈な反戦性で出版されなかったそうですが、大戦中の差し止めは政府による発禁処分じゃなくてトランボ自身の判断によるものだったそうです。当時は共産主義シンパだったトランボがソ連を攻めているナチス・ドイツと戦う米国の戦争努力を邪魔したくなかったからのが本心みたいで、主義者にありがちなこういうダブスタはなんか嫌ですね。私はこの映画は史上最恐の反戦映画の一つだと思っています(もう一本は『火垂るの墓』)。初見はたしか中学生の時だったと思いますが、あまりの衝撃に永い間トラウマになって、その後ソフト化されたりして観る機会が増えたけど、どうしても再見する勇気がなかったほどです。 トランボが原作を書いたのは新聞に載ったカナダ軍将校の悲惨な運命に触発されたからですが、実はこの記事は事実を歪曲したほとんどフェイクニュースだったみたいです。でも江戸川乱歩の『芋虫』みたいな人間芋虫みたいになってしまったジョニーの過酷な運命は、考えるほどにこれほどダウナーな気分にしてくれるストーリーはないんじゃないかと思います。手足や顔、そして五感をすべて失ってしまっても生きるしかない人生なんて、身の毛もよだつというよりももはや想像することすら困難です。つまり「肉体を失って意識だけの存在になっても、それは果たして人間と呼べるのだろうか?」という問いでもあり、そうなってしまったらもはや『懇談の惑星』のイドの怪物となんら変わりのない存在なのかもしれません。 現実の病院での監禁生活がモノクロで、過去の思い出や頭に浮かぶ幻想はカラーという演出が効果的です。その思い出と幻想にクロスオーバーするように登場するイエス・キリスト=ドナルド・サザーランドのキャラが秀逸、神の子のくせに誰も救えず単なる黄泉の国への案内人程度の存在なのがキリスト教への強烈な皮肉になっています。けっきょくモールス信号というジョニーが外界とコミュニケーションを取れる唯一の手段を教えてくれたのが、死んだ父親の霊魂だったということも宗教の無力さを強調していたような気がしました。でもそのジョニーがやっと発することのできたメッセージが“SOS”と〝kill Me”だったという結末は、あまりにも悲惨でした… あまり人にお奨めする気にはなり難い種類の作品ですが、死ぬまでに一度は観てこのストーリーが持つテーマを考えてみるだけの価値はあると思います。
S&Sさん [映画館(字幕)] 9点(2025-04-03 23:31:13)★《新規》★
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