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《ネタバレ》 舞台版が極端に演出を現代に寄せているのと較べて、イスラエルの遺跡や荒れ地で撮影されているので、意外と違和感は少ないです。全編でセリフがすべてロック・スコアのミュージカルですが、ラストでユダの二言三言の語りだけが普通のセリフだったというのが印象的です。やはりこの劇の主人公はユダで、イエスは狂言回しだったという結論に落ち着きましょうか。でも本作のイエスの人物像は驚くほど人間的で、自分の影響力があまりに大きくなりすぎて苦しむ心の弱さが感じられて、自分が今まで観たイエスを描いた映画の中でもっともしっくりうるイエス・キリストでした。たぶん実際のイエスも、始めは当時では70年代のヒッピーと大して変わらないような存在だったんじゃないでしょうか。それがここまで世界宗教化できたのは、使徒たちの力が大きかったからには違いないでしょう。他の二つの世界宗教の創始者である釈迦とマホメットとイエスが違うところは、彼らが一応天寿を全うしたのにイエスは処刑されたってことです。たしかにテッド・二―リーが演じるイエスは70年代のヒッピー文化の申し子としか見えない単なる“愛の人”という感じで、この映画が教会から猛反発されたのもむべなるかなって思います。 アンドリュー・ロイド・ウエバーのミュージカル人生はまさにここから始まったというわけです。各スコアは名曲揃いですが、やはりユダ役のカール・アンダーソンの歌唱がいちばんの迫力です。監督がノーマン・ジュイソンだけに演出に特有の臭さやダサさがありますが、彼の熱唱がやっぱり良かったので、プラス一点ということで。
【S&S】さん [映画館(字幕)] 7点(2021-07-06 23:23:55)
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