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《ネタバレ》 監督のエドワード・ズウィックはこういう実話をもとに膨らませて脚色した映画を撮るのが上手くて、彼が以前に撮った『グローリー』とよく似た雰囲気の作品です。知る人ぞ知る1,200人が生きのびた“ビエルスキ・パルチザン”の実話を映画化したわけですが、トランプ前大統領の娘イヴァンカの婿でトランプ政権では補佐官を務めたジャレッド・クシュナーは、祖父母がこのパルチザンの生き残りだったそうです。 ビエルスキ三兄弟の長兄を演じるダニエル・クレイグは、リーダーシップがそこそこ有るのに困難な局面では内面の弱さをさらけ出す人物像を巧みに演じていたと思います。彼の弱い部分を補うような存在になるのがゴリラのような弟・リーヴ・シュライバーで、終わってみれば美味しいところはみんな彼が持って行ってしまった感はありますね。末弟で青春キャラを受け持ったようなジェイミー・ベルも良い味出していて、三兄弟のキャラが上手く出ている脚本だと思います。この物語ではドイツ軍はもちろんのこと、ユダヤ人狩りに協力したベラルーシの住人、赤軍の指揮下にあるパルチザン、そして住人から食料を略奪するユダヤ人たちと全面的に正義の立場にいるという勢力がいないというストーリーテリングになっています。とくにユダヤ人たちは、その小集団の中でも格差による反目や食料を巡る諍いなどがきっちり描かれており、綺麗ごとで済ませずにリアルな人間集団が必然的に抱えることになる問題から逃げていないのは好感が持てます。でも聖書のモーゼの故事をモチーフにした沼地を突破するシークエンスや、ラストのご都合主義丸出しのいかにもハリウッド映画らしい戦闘展開は、ちょっとやり過ぎの感がありました。詳しい史実は存じませんけど、1,200人もの集団が約三年も森の中で生き延びたってことは、多分派手な戦闘などは極力避けていたんじゃないかなと思います。スツーカに爆撃されて戦車を従えた部隊に攻撃されたら、普通に全滅しますよ(笑)。
【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-07-03 23:05:19)(良:1票)
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