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《ネタバレ》 70年前の映画とは思えない、現代の眼で観てもまったく古さを感じない鬼のような傑作。海外の映画サイトやキネ旬のオールタイム・ランキングには当然ランクインしていますが、面白いことに近年になってどんどん順位がアップしています。 死者のモノローグは『深夜の告白』でも使ったワイルダーお得意のストーリーテリングですね。この映画の凄いところは、ウィリアム・ホールデン周辺の仲間たち以外、つまりグロリア・スワンソン=ノーマ・デズモンドや登場する実在の映画関係者たちが、みんなセルフ・パロディとして登場することです。ノーマとブリッジをするメンバーは三人とも実在のサイレント時代のスターですが、この人たちを“蝋人形”だとモノローグで言わせちゃう脚本がエグい、その中の一人はバスター・キートンなんですからね。グロリア・スワンソンにしてもよくこの役を請けたなと感心します、グレタ・ガルボやメイ・ウェストには当然のごとく拒否されてますからねえ。『何がジェーンに起こったか?』のベティ・デイビスとジョーン・クロフォードの先駆けだったと言えるでしょう。ノーマのセリフにもあるようにサイレント時代の女優は顔というか表情で勝負、スワンソン自身もまるで歌舞伎の大見栄を切るような大芝居の連続で、ここは彼女のサイレント女優としての本領が発揮できたんじゃないでしょうか。そんな中でセシル・B・デミルだけはノーマに優しいいい人キャラ、さすがパラマウント映画の大御所・大監督だけあってワイルダーも忖度してしまったのかな(笑)。ノーマとマックス=エリッヒ・フォン・シュトロハイムの関係なんかも始めは不気味に感じるけどだんだん感情移入してきて、ラストの映画監督に戻って指示を出すところなんかは心に染みます。 この映画はフィルム・ノワールの傑作と分類されていますけど、私はビリー・ワイルダーが生涯撮った唯一のホラーじゃないかと思います。
【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2022-01-13 22:06:54)
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