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《ネタバレ》 一週間・一日・一時間という登場人物三人の時間軸をラストに集約させるという戦争映画では観たことがないストーリーテリングが、いかにもクリストファー・ノーランらしくて斬新でもあります。空や海上の天気は晴れているのにダンケルク海岸は悪天候気味なのは可笑しいなんて、ピント外れのツッコミを入れていた自分でした。ダンケルク撤退の映画というと、自分にはどうしてもジャン=ポール・ベルモンドの『ダンケルク』が刷り込まれているんです。ノーラン版『ダンケルク』のファースト・シーン、ドイツ軍が撒いたビラを拾うところは、完全に1964年版のファースト・シーンへのオマージュになっています。あの映画はフランス軍側の視点で描かれ厭戦感に満ちていました。でも若いと言ってもノーランもやっぱり英国人でして、救助に向かう側の「戦いはこれからが本番だ」というジョンブル魂を前面に押し出しています。考えようによっては、この映画はマイケル・ベイの『パール・ハーバー』みたいな過剰なヒロイズムで撮るという手もあったわけですが、まあ知的なノーランがそんなバカなことする訳もないですけどね。ラスト、やれることはすべてやり尽くして海岸に着陸して捕虜になるトム・ハーディの不屈の面構え、これこそ英国人という感じでした。 戦闘シーンでは、とにかくノーランのスピットファイア愛が凄かったというのが感想です。今までの彼の作風とは違い、CGを使わず実写に拘るという姿勢でしたが、これも良し悪しでしたね。海軍の軍艦になるとさすがに大戦時の実物を撮影に使うのは不可能で、登場する艦艇はもろ現代の軍艦です。せめてこういうところにはCGを使って、第二次大戦の駆逐艦を再現した方が良かったんじゃないでしょうか。
【S&S】さん [DVD(字幕)] 7点(2018-03-03 22:04:32)(良:1票)
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