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《ネタバレ》 このハリウッド・ゴジラは、キングコングも含めて連作として先のストーリー展開も含めて構想されているところがいいよね。今作は『三大怪獣 地上最大の決戦』のリメイクときましたか。悪の組織としてX星人ならぬシー・シェパードまがいの軍団が登場させていますが、この組織がコネリー007時代のスペクターなみに何がやりたいのか判らないところがストーリー展開での最大の難でしょう。いつも思うんだけど、こういう環境問題というテーマには偽善がプンプンするところが堪らなく嫌です。多細胞生物が地球に誕生してから、全生物の90%以上が消えた大量絶滅が何回発生したのか判ってんのかと言っておきたい。地球という天体の寿命は一説にはあと40億年ぐらいだそうで、いま地球に生存する生物の大半は一億年以内に必ず絶滅しますよ、人類も含めてね。でもそこから新しい形の生命が生まれてくるだろうし、そもそも地表の出来事なんて地球そのものには大したことじゃない。だからこの組織やマッドサイ・エンティストと化したヴェラ・ファーミガの思想(らしきもの)には何の共感もないし、神が創造した人間が存在しない地球はあり得ないというキリスト教的な傲慢さが鼻につくんです。まあハリウッド大作の脚本にそこまでケチつけてもしょうがないですけどね(笑)。 今回のメイン・ゲストはやはりキング・ギドラであることは間違いなく、東宝特撮では他の怪獣たちとはかけ離れた出自からイマイチ暴れ方が地味だったのに、生物的な特徴を強調したスタイルには拍手を送りたい。だいたい、ギドラの首がもげるなんて期待をはるかに超えています、“モンスター・ゼロ” なんて呼ばれるところなんかも、東宝特撮へのリスペクトが感じられます(東宝特撮時代の全米公開版では、キング・ギドラじゃなくてこう呼んでいた)。昭和の時代ではただ飛んで羽ばたくだけといった印象だったラドンが、まさに火の鳥と化して存在感を主張しているところも嬉しいところです。半面、モスラが昆虫的な要素が強調されてなんか気色悪い造形なのは、何とかして欲しかったな。そして渡辺謙が、先代芹沢博士と同じようにゴジラに命を捧げる展開こそ、監督の東宝特撮への最大のリスペクトだったんじゃないでしょうか。でも、オキシダント・デストロイヤーの役立たずぶりには、愕然とさせられましたけど(笑)。 ラストで、ゴジラのもとに集まってきた怪獣たちがひれ伏すかのような動作を見せるところは、まさに“キング・オブ・モンスター”の誕生でした。でもコングが黙ってそれを許すわけないし、ゴジラのチャンピオン・ベルトを奪取するべく挑むビッグ・マッチが次回作ってことですね。
【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-05-25 23:32:07)
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