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《ネタバレ》 正直言って公開当時はまさかガメラがリメイクされるとは想像すらしていませんでした、それも日本怪獣映画の新境地を開くようなアプローチで製作されるとはね。 いきなり東宝のマークが映り続いて懐かしの大映のマークが出てきて、時代の移り変わりをひしひしと感じさせてくれたオープニングです。冒頭のシークエンスでは巡視艇のじまの船長に本郷功次郎、海竜丸の船長には久保明とオールドファンには感涙もののキャスティングです。そもそもガメラは日本怪獣映画史上もっとも理屈に合わない生物で昭和のシリーズではそこには全く拘りがなかったのに、超古代文明が遺伝子操作で作成した人工生物という斬新かつ妙に納得がゆく設定です。対するギャオスも超古代文明がガメラに先駆けて開発した生命体で、進化を経ないで誕生した完璧な遺伝子を持つ雌雄同体の化け物という痺れるプロフィール。オリジナル通り人間食なんですがギャオスのデザインがオリジナルより生々しくて、そのお食事作法は東宝特撮のガイラを彷彿させます。そういえばギャオスが中央線の快速電車をかっぱらって中の乗客を食べるシーンは、『サンダ対ガイラ』の羽田空港での食人シーンとカット割りが同じでしたね。 「神は細部に宿る」と言われますが、この映画の怪獣が出現することによっておこる社会的混乱を織り込んだストーリーテリングはそれまでの特撮映画になかった画期的な脚本で、この視点こそが『シン・ゴジラ』で昇華したと言えるでしょう。株式市場や為替相場が怪獣のために暴落するなんて描写は、それまでいろいろ怪獣映画を観てきたけど初めての遭遇した気がします。ガメラとギャオスが暴れるシーンでは徹底的にローアングルに拘り、それまでの怪獣映画で使われていたいわゆる“神の視点”のカメラアングルは基本的には排除されています。画造りにも拘っていて、ギャオスが崩壊した東京タワーに沈む夕陽をバックに巣作りをしているところは、まるで実写のようで怪獣映画史に残る名カットじゃないでしょうか。都市破壊シーンも精巧なミニチュアを作成して着ぐるみが破壊するというCG登場以前のテクニックの集大成が披露されていますが、公開されたのが阪神淡路大震災の直後でリアルな都市破壊を散々TVで見せられた後だけに、自分には観ていてなんか辛いものがありました。とくにガメラが東京に出現するシークエンスでは、なぜかガメラが東京まで地下を掘り進んで来て、地上はまるで地震の様に揺れるところがますます大震災が思い出されてゾッとさせられました。 ガメラにつきまとっていた「子供の味方」という臭いイメージを払拭させる意図もあってのリアル指向だったかもしれませんけど、尺も程よい長さになって見応えがある一編だったと思います。でもやはり文句が言いたいのはあのセガールの娘の大根演技だけはねぇ…彼女は最近日本じゃ見かけませんが、いまどうしてるのかな。
【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2020-07-18 22:17:56)
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