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《ネタバレ》 自分が今まで観た中で、おそらくもっとも“痛み”“激痛”という感覚を実体験させられたような気分にしてくれた映画です。銃で撃たれたり刃物で刺されたりすることは普通の人生では経験することはまずないが、自分は未体験だが交通事故などで骨折することは実生活で遭遇する可能性はあるわけで、その痛みが想像できてしまうわけです。まして足首にくさびを挿んでごついハンマーでへし折られるなんて…あのあり得ない角度で折れ曲がった足首を見せられたら、たぶん映画館では観客から悲鳴が上がったことでしょう。この映画も主演オファーを拒否した男優スターの顔ぶれを見ると錚々たる面々で、やっぱこんな酷い目に遭う役は躊躇しちゃうんでしょうね。その中にジャック・ニコルソンもいたそうで、『シャイニング』で狂ってゆく作家を演じた彼が今度は狂気の読者にいたぶられる作家を演じるなんて、想像しただけで笑えてきます。 ロブ・ライナーの演出とウイリアム・ゴールドマンの脚本は、登場人物が少ないながらも上手に伏線を張っていて飽きさせないものがあります。とくにライナーは全作品を観て研究しただけあって、たしかに往年のヒッチコックを彷彿させるサスペンスの盛り上げ方でした。私は原作未読ですけど、ポール・シェルダンの薬物中毒歴のオミットや原作にない保安官リチャード・ファーンズワースの存在など、かなり独自の脚色があるみたいですがスティーヴン・キングはこの映画がいたくお気に入りのようです。それはやはりキャシー・ベイツの出演が大きかったみたいですね、彼は本作後もベイツのために二本もオリジナル・ストーリーを書いて映像化してるぐらいですから。確かに狂っているけど純真な乙女チックな表情を時折見せるところなど、その緩急の付け方が舞台女優出身らしく上手いと思います。最後に〆られる女性ヴィランが登場する映画は珍しくないけど、本作のベイツほどボコボコ(とくに顔)される女優は観たことないって感じでした。ポール・シェルダン=ジェームズ・カーンも、これは後期ジェームズ・カーンの代表作として永く記憶される演技だったと思います。
【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2025-03-22 23:21:33)《新規》
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