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《ネタバレ》 東映“異常性愛路線”といえば言わずと知れた石井輝男、この路線で彼が監督した作品中では本作がもっとも有名なのかもしれません。もっとも本作のプロットはオムニバスだった『徳川女刑罰史』の一エピソードを拡大再利用したものなので、この頃にはさすがにネタ切れ状態だったみたいですね。それにしてもこの“異常性愛路線”は末期とはいえ60年代の製作、日活がロマンポルノ専門になる前ですから東映というか制作本部長だった岡田茂のえげつなさは相当なもんです。 ストーリーもぶっ飛んでます。将軍が綱吉だった時代の二人の刺青師(吉田輝雄と小池朝雄)が腕を競い合うという設定なのに、話が進むうちに長崎・出島が舞台に変わってしまいます。二人は遊郭に所属して遊女に刺青を彫っているので、そりゃハダカは飽きるほど観れます。タイトルバックの処刑シーンも唐突感が拭えませんでしたが、この遊郭はSMクラブでもあってやたら遊女を吊って痛めつけるシーンが多いんです。刺青はそりゃ絵でごまかせますけど、当初の主演女優がきつすぎて失踪したぐらいですから、この吊り責めシーンはマジで撮影してたみたいです。助監督たちが抗議行動を起こして天下の朝日新聞がキャンペーンを張ったぐらいですから、まさに大炎上です。悪役の旗本がなぜかおしろいを塗ったキャラだったり女囚の中に女装した大泉滉と由利徹が交っていて声だけは女優が吹き替えしているなど、「?」がいくつも並ぶところが多々あります。出島のシークエンスもかなりぶっ飛んでいて、まるで香港か上海租界みたいなところでそこには怪しげなカスバみたいなマーケット(?)があるんです。『黄線地帯』で神戸にカスバを出現させた石井輝男ですが、本作の出島カスバの方が造りこみや不気味さは上を行っています。笑っちゃったのはラストの商館でのシーンで、なんと江戸時代なのにこの館は壁のスイッチで照明が点灯できるんです! ラストカットの娼館女将の又裂きの刑も強烈でしたが、ハチャメチャなお話しをサービステンコ盛りでとりあえず観れるものにしちゃうのは石井輝男の力量の成せる技としか言いようがないですね。封切時はコケたけど、近年では海外やサブカル界隈で評価が上がってきたそうですが、そんな熱を込めて褒めるような映画じゃないのは確かです。
【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2021-03-24 22:48:43)
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