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《ネタバレ》 映るもののほとんどが暗くじめっとしていて雰囲気がある。映画の舞台が車が行き違うこともできないような狭く入り組んだ坂道に隣接するところで、これだけで奇妙なゾクゾク感に襲われてしまった。殺人の追憶では徹しきれていなかったが、この映画は痛烈な公権力批判を行っている。杜撰な犯人のさらに上をいくお粗末な警察と検察が主人公の行動を阻んでいく。終盤で、主人公が犯人を殺そうとする瞬間に警察が踏み込んでくるというのは陳腐かもしれないが良かった。私刑さえも許されなかった主人公と被害者達のやりきれなさだけが残る。ただし、その後のシーンにそれ以上踏み込んだものがなかったのが残念。社会的メッセージよりもエンタメを選んでしまったという印象。主人公の心理に迫る深みや、観賞後に残るものも余りない。事件から5年ほどしか経っていない重い事件をモチーフにしているわりに軽すぎる気がした。エンタメとしては良作、社会派としては凡作といったところか。実際の事件はカニバリズムなども絡んできてもっと凄惨で、犯人と警察に対する憤りばかりが募ったと記憶している。被害者遺族に警察が足蹴りしたなんて報道もあったし。犯人の心理を掘り下げていかなかったのは個人的に○。不気味さが漂っていた。妙にあっけらかんとしている所や、行き当たりばったりな所も怖い。
【Nujabest】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-01-31 19:36:08)(良:1票)
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