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《ネタバレ》 子供が自然体で映っている映画はたまにあるけれど、ここまで子供の行動を分かっている映画もなかなかない。本当に子供をよく観察しているなというのが最初の印象。子供が子供らしくて見ていてとても微笑ましい。特に人形劇を眺める子供達の夢中な表情が印象的。だけど、その無邪気な子供達の後方で、盗みの話をしている少年がいる。主人公の少年である。この少年は親に対する信頼が無い。どんなことがあっても最後は親が自分の見方をしてくれるという、子供にとって必要不可欠な感情を失っている。12歳の少年が、幼くしてすでに親をあきらめている。簡単に家出をしてしまったり、つい「母親が死んだ」と嘘をついたり(身内はあるかもしれないが母親というのは中々言えない)。彼はどこでその得られなかった感情の埋め合わせをしていくのだろうか。同い年くらいの普通の子には与えられる愛情をどこで体験するのだろうか。なぜ彼が、あたたかい寝袋を好むのか分かった気がする。本当に見ていて辛い映画だ。そして、何よりも切ないのは少年の数々の悪事の中にも律儀さや人の良さが、ふっと見え隠れしているところ。寝床で夫婦喧嘩の声を聞く彼の憂いを帯びた瞳、そしてラストの海辺での鋭い眼差しは忘れられない。
【Nujabest】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-12-31 15:27:25)
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