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《ネタバレ》 この映画の何が上手いって、クライン医師の登場のさせ方につきる。ロイは導入部で段々と潔癖症だと分かっていく。カーペットの上のゴミ一つ許せない、脅迫的に掃除するシーンを先に見せる。そこに、ガサツな相棒が、自然な流れでやってくるのだが、ジャンクフードらしきものを食らいながら突入してくるし、土足で踏み込んでくるわで、見てるこっちもロイと同様にイライラ。ロイが一生懸命に掃除してた、塵ひとつ落ちてないカーペットを汚しまくる。そんな折に、タイミングよくクライン医師をロイに紹介。普通に紹介してたのなら、あんな怪しい男が紹介するセラピストなんて信用できるわけが無い。しかし主人公は電話してる際も、指紋の方が気になっていて疑う余裕すら無い。相棒もちゃんと拭くと言いながらケツに挟んで受話器を拭く(笑) これは後半、空港で使った詐欺の手口と同様で、他の事に気を取られている隙に騙すテクニックそのものである。この辺りの一連のシーンの流れの上手さには唸った。自分は最初からこのセラピスト怪しいなと思っていた。なぜなら、靴を家具の上に投げ出す不遜な態度でセラピーにあたるからだ。しかし、このことは後半で職業を見破る際の伏線として回収しており、そういう疑い深い人たちの疑念を薄くする仕掛けまでほどこしてある。そもそも、"罪悪感で、葛藤し精神病に陥る詐欺師"という設定がとても良いし、脚本にまで詐欺師のテクニックを上手に応用して使っているのは素晴らしいの一言。ただし、あのコンゲームの歴史的名作のような爽快感がないのは、あの映画とは逆に完膚なきまでに騙されてしまったからだろう。ロイの精神的成長につなげているのは素晴らしいが、ドラマの爽快感としてはやっぱり敵わないな。余談だが、詐欺にかかりやすい人というのは、弱点を持っている人、確固たる自分を持ってない人、他人の評価に左右されやすい人etc…だそうだ。"弱点を持っている人”というのも、この脚本では上手いこと使用してある。
【Nujabest】さん [DVD(字幕)] 9点(2009-08-16 13:34:05)
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