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物語の設定と同じように、実際の冬の八甲田で撮影するという極めて過酷な状況の中でできあがった映画だ。映画は原作と同様に大変な人気を呼び、私の勤務する高校でも学校をあげて鑑賞することとなった。
事細かに雪中行軍に至った経緯が語られ、青森の第5連隊と弘前の第31連隊がともに真冬の八甲田を踏破する計画が進められる。しかし案内人を用い少数精鋭の小隊で編成された31連隊と、大隊長らも加わって統制のとれなくなった第5連隊とでは、計画内容は大きく違っていた。この辺の描き方が実に丁寧で、前半からすでに見応えのある堂々とした映画になっている。 ところが大規模なスケールで始まった映画も、悪天候の雪の中では誰が誰だかわからず、豪華キャストも形無しになっているように思われる。そしてまた、雪の中で彷徨する過酷な重苦しいシーンが続くが、それはまた観客にも同様の体験を味わってもらいたいとさえ言っているように思える。 その中にあって回想シーンがアクセントとなって映画を引き立てている。また全編繰り返し流れる音楽もまた良い。 ただ心配なのは、時代背景や走行ルートなどある程度の知識を持っていないと、ただ単に雪の中を歩く映画に思われてしまいそうだ。 【ESPERANZA】さん [映画館(邦画)] 7点(2012-07-19 06:50:46)
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