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《ネタバレ》 地方の貧困と、弱者同士の儚いラブストーリー 冒頭から、どう見てもクズの主人公綾野剛の、どうしようもないその日暮らし振りが、同じくクズとしかいいようがない大城拓児と出会って、なんとなく仲良くなるあたりはかなりリアルだ 汚くてバカで育ちが悪いが良い奴、って言う感じが、ひしひしと伝わって来るのはそれなりに巧い作りだと思った 大城家の家は凄まじく貧乏だが、地方都市の海沿いのバラックにはこんな人達が住んでるかも、と思わせる容赦ない演出 主人公がその凄まじい家に、ためらいながら入る一歩目を運命的に見せているカメラワークは秀逸 しかし中盤で綾野剛がクズではなくて、山で発破を使う仕事をしていたが、部下を失って街に降りて来て悔恨の日々を送っている人物だと言う事がわかると気持ちがさっと冷めた どうしようもないクズがほんのちょっとでも前に進む話じゃ無くて、「元々はクズじゃなかった」&ありがちな「心にキズを負って立ち直れないでいる人」だったのだ これはちょっとがっかりした 個人的な期待が裏切られたせいか、主人公が山で部下を失ったシーンを、最初に見せても良かったんじゃなかろうかと思った ヒロインが週三回の工場のアルバイトをしながらも、体を売って家族を支えても、尚この究極の貧困という状況がいまいちピンとこない 寝たきりの父親の世話だけじゃなく、性欲の処理までもする貧困からくる残酷がテンコ盛りすぎる理由がわからない この話に感情移入するためにも、この状況になったはっきりした理由が欲しい なので、むしろヒロインはもっとクズの方がリアルだ ラストで主人公が拓児をアパートの廊下で抱きしめるシーンは泣ける この拓児役の菅田将暉の熱演が光る この人を憶えておこうと思った エンディングもほんのちょとだけ救いが有るとおもわせる展開 朝の美しい光の中で、この二人にとっては今がどん底で、この先には今よりはマシな未来が待っていると思わせるラストシーンに心が震えた
【にょろぞう】さん [ブルーレイ(邦画)] 8点(2016-05-10 12:36:54)
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