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パディントン2 のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 パディントン2
製作国英,仏
上映時間104分
劇場公開日 2018-01-19
ジャンルアクション,コメディ,ファンタジー,シリーズもの,ファミリー,動物もの,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 パディントンが飛び出す絵本を広げ、空想する場面。絵本の中にルーシーおばさんと入り歩く場面は、ページをめくるたびにロンドンの名所と二人が現れ、途切れずに続く長回しで描かれており思わず息を呑む。

彼の刑務所での空想場面もだ。ブラウン一家が面会時間を逃した時に、彼は「自分は忘れ去られた」と部屋で1人涙をこぼす。その涙が床に落ち、そこから双葉の芽が1本出てきたと思ったら、一気に草木が部屋を覆いジャングルになったかと思ったら彼方にルーシーおばさんが。彼は思わず抱きつき心の内をこぼす。これもまた空想シーンの名場面である。

あまりに空想シーンのデキが良いので、同じマズい料理ばかり作るコックに辟易している囚人達の食堂の場面もそうだと思っていた。
パディントンが「皆の為に違うメニューを!」と提案した所からの、スイーツばかりの新メニューがずらりと並べられ(料理がなくスイーツだけという、さりげないボケ)どこかの小粋なレストランよろしくテーブルからイスまでリニューアルする食堂の場面も「空想か?」と思った、が、どうもこれがリアルにそうなっているようで、映画全体に満ちた(いい意味での)そういうボケが「パディントンでは、そういう事になります」みたいな、制作側の確固たる意志を感じさせ、もうこちらとしては「はっ、わかりました。」となる。

最後には収容所の悪役ブキャナンが夢だったミュージカルを他の囚人達も参加してやっていて、こういった類のムチャな流れも普通の映画なら「登場人物の空想」として描かれ「だからアリです」となるが、パディントではそれがリアルに起こっている事象になっていて、そして制作側の「パディントンなので、アリです」という意志をヒシヒシと感じる。

**
ヒューグラントは”かつて人気があったが今は落ち目の俳優”役だが、彼がインタビューで「この脚本は僕をイメージして作ったから是非出てくれ」と監督に言われてへこんだよ」と苦笑いしていて、実際90年代の大活躍以降、話題作に恵まれない彼にとって、この役を全力で演じきる事はプライドとの戦いだっただろうと思うと、彼が随所で見せる全力の自虐ネタに、若い頃の彼が好きだった私は、いちいち激しく反応してしまった。(つまり、大笑いしてしまった)

多くの人の彼のイメージは”90年代に席巻したラブコメ俳優”では?

でも私の場合は中学時代、母に連行されて鑑賞した「モーリス」に出ていたホモ役3人衆の一人として、思春期の私の心にかなりのインパクトを残した俳優なのだ。
そんな私だからこそ”過去の栄光”にすがるナルっぷりを表している、自宅のあちこちに飾られていた若い頃の写真の中に、「モーリス」でのスノッブなヒゲ顔写真が額装して壁にかかっていたのも見逃さなかった(笑)

**
しかしやはり見終わって感じるのは「正直に、親切に生きていれば、幸せになれる」という当たり前の教えだ。正直で親切であっても、報われなかったり失敗する事もある。だから人は「ならしなくていい」となりがち。

ルーシーおばさんに絵本を贈り、ロンドンに来た気分にさせてあげたいという夢の為に、失敗しながらも、効率が悪くても、お金を貯めようとしたパディントンと、オファーがないなら自主上演をと夢見て、その資金にお宝を盗もうと画策するブキャナン。どちらが幸せになるかは分かりきったラストシーンにつながるが、当たり前の展開なのにやっぱり泣いてしまう。真理には敵わない。

この主題を「道徳心のおしつけ」と受け取るのは違うだろう。

昨今増加の虐待親。でもその遠因はその親を育てた親が養育過程で愛情不足にさせてきたから。
虐待親の親が自分中心で生き、子を二の次にした結果、その子は自分も他人も、そして自分の子も愛せない親になってしまう。

だからロンドン大好きでロンドンに行く気まんまんだったルーシーが、パディントンを拾ってすぐ「この子のために、ロンドン行きはナシ」と決断したエピソードは、それだけで

「そう、子育ては自己犠牲。でもそうやって自己犠牲をいとわず愛情を子に注げば、その子は必ずその愛に応えて倍返ししてくれる」

と納得させられる。
実際パディントンは良い子に育ち幸せな日々を送って、そしてルーシーは夢のロンドンに招待された。
ルーシーおばさんは自己犠牲だけで終わらず、お互いwin-winとなったのだ。

「パディントン2」は、映像美あり、笑いと涙あり、伏線回収もばっちりで子供も楽しめるが、大人たちも、自らの生き方をみつめるきっかけにもなる、素敵なエンターテイメント。アメリカの有力なレビューサイト、rotten tomatoesでもフレッシュトマト100%の高い評価を得ているのもうなづける。
フィンセントさん [映画館(吹替)] 10点(2018-01-25 10:10:47)(良:1票)
その他情報
作品のレビュー数 7件
作品の平均点 8.57点
作品の点数分布
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作品の標準偏差 0.90
このレビューの偏差値 67.50
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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