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《ネタバレ》 世界の三大喜劇王と言われる、チャールズ・チャップリン、ハロルド・ロイド、バスター・キートン。
DVDで名作の誉れ高い「キートンのセブン・チャンス」を鑑賞しました。 この映画でのバスター・キートンを観ていると、最もオーソドックスなスラップスティック・コメデイの演技とは、まさしく、これなのだと思えてきます。 バスター・キートンは、グレート・ストーン・フェイス、つまり、偉大なる無表情と呼ばれたそうですが、まったく無表情なのですから、すべては身体を動かして表現するほかないことになります。 ところが、よく観ると彼には小さな動きの演技はあまりないので、必然的に演技は大きく、なおかつ、猛烈なスピードを持って展開されることになります。 この映画を観て、あらためてスピードのないスラップスティツク演技なんてのは、スラップスティックとは言えないなと思ってしまいます。 この映画の最大の見せ場は、後半にやってきます。 前半の求婚をめぐるお話も、キートンらしく不器用で直線的で、それはそれなりの面白さを持ってはいますが、しかしこの前半は、例えば他のコメディアンが演じても、それぞれの持ち味に応じた面白さは出るだろうと思われます。 ところが、キートンが雲霞のごとき花嫁候補の群れに追われる後半は、キートンならではの面白さが一気に爆発します。 野越え山越え、ひたすら逃げ続けるキートンは、その疾走が紛れもなく全力疾走であることで私を驚かせ、その起き上がり方の素早さでアッと言わせてくれます。 キートンは、決して手を抜いたり、ふざけたりしません。 世界中の誰よりも真面目に、スラップスティック演技に全身全霊を捧げているのです。 キートン喜劇の面白さ、可笑しさは、まさに彼の生真面目から生まれてくるものだと思います。 彼の映画の笑いは、押しの一点張りが成功した時にめざましいものになります。 それは、チャップリンのような緩急自在の呼吸から生み出される笑いとは、まったく違う笑いなのだと言えると思います。 【dreamer】さん [DVD(字幕)] 8点(2019-03-12 22:55:45)(良:1票)
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